AGAの進行速度は?急激に進行する可能性や薄毛タイプ別の進行パターンも解説

日本人男性のおよそ3割が発症する※1と言われている男性型脱毛症・AGA。残念ながらAGAは何もしなければ完治することはありませんが、様々な手段で進行を止めたり、遅らせたりできることが知られています。
よく「AGAは進行性のため、なるべく早く薄毛治療を始めた方がよい」と聞きますが、実際AGAの進行速度はどのくらいなのでしょうか?
ここでは、AGAは急激に進行することはあるのか、薄毛の進行は止められないかなどAGAの進行速度についてや、M字・O字・U字といった薄毛タイプごとの進行パターン、AGAの進行を抑える方法やAGA治療が行えるクリニックについて解説しています。
※1参考元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン※当サイトでは、2023年3月現在の情報を掲載しています。ページ内の料金は全て税込み。
AGAの進行速度|急激に進行することはあるか

AGAの進行速度について結論からいうと、個人差はあるもののAGAは基本的にゆっくり進行していくため、一気に髪が抜ける・スカスカになるといった症状は起こらないようです。
そもそもAGAとは男性型脱毛症のことで、思春期以降に額や頭頂部から髪が薄くなる症状が現れます。(ちなみに10代後半〜20代前半の若年性脱毛症(いわゆる若ハゲ)、30代〜50代の壮年性脱毛症、60代以降の老人性脱毛症といい、年齢によって区別しますがすべてAGAです。)
AGAは、男性ホルモンから作られる「DHT(ジヒドロテストステロン)」という物質が毛周期を乱し、髪が太く成長する前に脱落してしまう状態を指します。生えてくる本数よりも抜ける本数の方が増えていくため、急激な進行ではなく徐々に薄毛が目立ってくるのです。
この原因は男性ホルモンの量ではなく、DHTを作りだす酵素「5αリダクターゼ」の活発度や毛根にあるDHTを受け取る細胞の感受性に影響されており、発症時期は年齢を問わず、若いからといってAGAを発症しない訳ではないのが特徴です。
AGAは進行速度がゆっくりではありますが、発症した年代で比較すると、10〜20代の若年層で発症した方が30代以降に発症した場合より進行スピードが早い傾向にあります。しかし若年層の特徴として、早期に対策をとると効果が表れるのも早いと言われています。
反対に、1ヶ月で急激に薄毛が進行する、部分的に一気にハゲるなどの症状がある場合は別の脱毛症の可能性もあるでしょう。AGAとは異なる脱毛症には以下のようなものがあります。
- 円形脱毛症…20代に多い。髪が抜けても毛包は存在しているので毛は再生される
- 粃糠(ひこう)性脱毛症…思春期以降に多い。脂漏性皮膚炎など頭皮環境の悪化で抜け毛が進行する
- 薬剤性脱毛症…薬の副作用による脱毛症。よく知られているもので抗がん剤など
- ホルモン分泌異常による脱毛症
- 栄養障害や身体的・精神的ストレス
脱毛症状やその他にも気になる兆候がある場合は、医師の診察を受けるなどして確認しておくと良いでしょう。
AGAの進行速度|進行は止まらない?
AGAは何もせずに放っておいても進行は止められません。後述する方法でAGAの進行速度を抑えたり発毛を促進する効果も期待できますが、一部の方法を除き、基本的には「薄毛対策をしている間」のみ効果が続きます。
つまり、薄毛対策をやめてしばらくすると再び抜け毛・薄毛が進行してしまうのです。治療などによってそれまで順調に抜け毛が減ったり産毛が生えてきていた方であっても、自己判断で断薬するなど対策をやめてしまうと、半年以内には抜け毛の量が対策を始める前と同じ水準に戻ってしまいます。
治療や対策のおかげで抜け毛が減っていた分、余計に抜け毛が目につくからか「薄毛治療のリバウンド」と表現されることさえあります。
しかもAGA対策は、薄毛の状態にマッチした方法・治療法で対処することが重要です。いくら優秀な治療薬を用いたとしても、自身の薄毛の状態に適していなければ効果を感じないばかりか、効果が出るのを待っている間にAGAがどんどん進行してしまいます。そうならないためにも自分の薄毛の状態を正確に把握したりどのような治療方法が向いているのかをきちんと確認しておく事が重要です。
AGAの進行速度|薄毛の進行度を測るには

個人差はありますが、薄毛の初期症状には「髪にコシがない・髪が細くなった・抜け毛が増える・地肌が透ける・額が広がる」といった現象が見られ、その後どこから薄毛が進行していくかにより、AGAの進行パターンはM字型・O字型・U字型の3パターンに別れます。
自身のAGAがどの段階まで進行しているかを把握するためには、「ノーウッド・ハミルトン分類」を活用するのがおすすめです。この指標を基準に実情と照らし合わせることで自身のAGAがどの程度進行しているか客観的に確認することができます。
ノーウッド・ハミルトン分類は、左端がもっとも初期の状態であるⅠ型で、右にいくにつれてⅡ型、Ⅲ型…とAGAが進行していく様子を表しています。Ⅲ型以降は髪全体のボリュームが少なくなりはじめ、Ⅴ型以降はぱっと見た時に薄毛の印象をもたれやすくなる傾向も現れます。いずれの段階でも、側頭部や後頭部には太い血管が通っているためその部分だけは髪が残りやすいという特徴があります。

AGAの初期であるⅠ型・Ⅱ型で薄毛対策を始めれば希望の状態をキープすることは難しくありませんが、実際はこのステージで自分がAGAであると気付くことは少なく、Ⅲ~Ⅳ型までAGAが進行してからAGA治療などの対策をはじめる人が多いようです。
しかしある程度AGAが進行してから治療や対策を始めるのは、希望の状態になるまでの身体的・精神的・経済的な負担が大きく、もちろん時間もかかってしまいます。
AGAは進行性のため、抜け毛や薄毛が気になったタイミングで早めに治療や対策を始めることが重要です。
つづいて、M字型・O字型・U字型のタイプ別進行パターンについて解説します。
AGA:M字ハゲの進行パターン
M字ハゲはAGAでもっとも多いタイプで、額の両側・こめかみの上部から頭頂部に向けて生え際が徐々にアルファベットの「M」の形のように後退していきます。生まれつき生え際がM字の形をしている方もいるかと思いますが、自分の状態がM字ハゲか確認したい場合は、おでこのシワから生え際までの距離、または頭頂部と生え際との距離を測ることでチェックすることができます。
M字ハゲかどうかの基準の1つ目は、眉を上げた時にできる生え際に一番近いシワともっとも後退している部分との間が指2本分以内におさまるかで、この間隔が広いほど後退しているといえます。
もう1つの基準は、頭頂部と耳の穴をつないだ「頭頂線」からM字の先端部分が2cm以内に入るかで、この差が2cm未満であれば「M字ハゲ」とジャッジすることができます。

M字ハゲは、初期〜中期は生え際の中央を残して進行していき、末期はその中央部も後退を始めます。おでこ全体の面積が徐々に拡大していくだけでなく、そのままU字ハゲへと進行する場合もあります。
AGA:O字ハゲの進行パターン
O字ハゲは頭頂部のつむじ周辺から抜け始め、アルファベットの「O」の形のように頭頂部全体へと進行していくのが特徴です。正面からは見えずらく自分では確認しにくい場所なので、家族など他の人から指摘されて初めて気付いたというパターンも少なくありません。

O字ハゲは鏡を使うか手で触って頭頂部分を確認する必要があるため、初期の状態では気が付きにくいのが特徴です。
特にO字ハゲの初期状態とつむじとの違いが分かりにくく、単なる髪の流れなのかつむじハゲなのかは注視する必要があるでしょう。中期以降は地肌が見える面積がふえてくるため気が付きやすくなりますが、そのままAGAが進行すると前頭部も同時に薄くなりはじめ、最終的には頭頂部の薄毛と繋がってしまう可能性もあります。
AGA:U字ハゲの進行パターン
U字ハゲは、前頭部がアルファベットの「U」の形のように薄毛が進行していきます。生え際・頭頂部のどちらも薄毛の状態が確認できてしまうため、薄毛の印象を持たれてしまう可能性が高いタイプです。M字型とO字型を併発していることもあり、その場合はM字型・O字型単体で発症しているパターンよりもAGAが進行している状態といえるでしょう。

U字ハゲは前頭部から頭頂部まで薄毛が進行するため、自分でも気付きやすいタイプのAGAです。前頭部から頭頂部まで広範囲に薄毛が進行しますが、太い血管が通っている側頭部や後頭部は最後まで残ることが多いのが特徴です。
AGAの進行を抑える方法①日常的に行える薄毛対策

AGA・薄毛の進行を抑えるには様々な方法がありますが、まずは日常生活の中で行える「ヘアケア・食生活・睡眠時間・ストレス解消法」の見直しをしてみましょう。
AGA対策の中でも特に重要なのが正しくヘアケアを行うことで、髪や頭皮に負担を掛けないことが第一です。具体的には、
- シャンプー中は爪を立てたり地肌を強く擦ったりしない
- 髪についた整髪料はしっかり落とす
- 熱すぎるお湯では洗髪しない
- 髪はドライヤーで乾かす
などで、ポイントは、「髪」についた汚れはしっかり落とす・「地肌」はやさしく洗うことです。頭はついゴシゴシ洗ってしまいがちですが、やり過ぎると頭皮の油分を取り過ぎてしまい余計に皮脂が分泌されたり、擦ることで頭皮が傷つき抜け毛の原因を増やしてしまうこともあるため注意が必要です。
シャンプーは泡立ててから頭皮に乗せる、頭皮を洗う際は指の腹で力を入れすぎないようにするなど気を付けましょう。また整髪料を使っている場合は髪だけしっかり余洗いし、続けて通常通りにシャンプーをすると良いでしょう。
また、使用するシャンプー自体にこだわってみるのもおすすめです。シャンプーの中には「育毛シャンプー」という、優しい洗浄力で頭皮ケア成分が配合されているものもあります。育毛シャンプーは単体で発毛するものではありませんが、頭皮環境を整えて髪を生やす土台作りに役立つでしょう。育毛シャンプーは市販品や美容院などのサロン専売品、クリニック専売品など、様々なところで入手することができます。
- 偏食・ダイエット
- 暴飲暴食
- 塩分や糖質が多いもの、脂っぽいものを良く食べる
- 食事の時間が乱れがち
これらの習慣を続けると、頭皮や毛根に栄養を届ける血液の循環を悪くしたり髪の成長に必要な栄養素を不足させる可能性があります。
薄毛対策としては食事の栄養バランスを意識し、特にタンパク質、ビタミン、亜鉛などが含まれているものを積極的に食べるように心がけましょう。また、なるべく決まった時間に食事を摂るようにするなど生活リズムも一定にするのがおすすめです。
髪は寝ている間に成長するため、AGA対策では睡眠時間も重要です。可能であれば22時~2時の間には寝るようにし、睡眠時間は6時間以上確保できると良いでしょう。睡眠時間だけでなく、深く眠れるように睡眠の質にもこだわるとなお良いでしょう。
ストレスを感じることで、頭皮の血行が悪くなったり髪の成長サイクルが乱れて抜け毛の原因になることがあります。薄毛・AGA対策のためにも、ストレスは定期的に発散することが大切です。しかしストレス発散のために深酒をしたりたばこを吸うとかえって頭皮環境に悪影響を与えてしまいます。ストレス発散には、軽いウォーキングやストレッチなど適度な運動をするのが薄毛対策としては特におすすめです。
AGAの進行を遅らせるためにもコツコツとこれらの方法を日々意識して行い、規則正しい生活サイクルを心掛けるようにしましょう。また小さな変化にも気づけるように毎日頭皮や髪の状態をチェックすることも重要です。
AGAの進行を抑える方法②育毛剤

日々のヘアケアなどと合わせて行える薄毛対策に育毛剤があります。薄毛・AGA対策といえば育毛剤、と最初にイメージできるくらいメジャーな薄毛対策ですが、一般的に「育毛剤」とイメージするものには、厳密にいうと育毛剤と発毛剤という効果の異なる2種類があります。
頭髪の状態を整えて残っている髪を育てたり抜け毛を予防する目的で用いられることが多いのが特徴です。髪を太くしたい、コシのある髪にしたい、髪全体のボリュームを出したい、などの希望にマッチしています。
「ミノキシジル」などの有効成分が配合されているため、抜け毛を抑えるだけでなく発毛を促すなど育毛剤よりも強く作用するのが特徴で、AGA治療用としてクリニックでも処方されます。髪をもっと生やしたい、AGAがある程度進んでいて進行をしっかり止めたい、などの希望にマッチしています。
育毛剤の主な効果は抜け毛予防で、続けることでAGAの進行スピードを遅らせるのに役立ちます。AGAの初期症状である「髪が細くなる、髪にコシがない」といった症状なら育毛剤で十分対処でき、薬局などで市販していたり年齢にかかわらず購入できるといったメリットがあります。(一部高校生では購入できないものもあります。)
一方、「抜け毛がどんどん増えている、地肌が透けてきた」といった場合は発毛剤が向いている可能性があります抜け毛予防に加えて発毛効果もある発毛剤ですが、育毛剤とくらべて金額が高い、購入する際は薬剤師からの説明を受ける必要がある、20歳以上の方のみ購入できるなど購入するにはいくつか条件があります。
これらの育毛剤・発毛剤は、使用途中で副作用が起こる可能性があるため留意しましょう。具体的には、頭皮のかゆみやかぶれ、発赤といった頭皮トラブルのほか、発毛剤では動悸やめまい、息切れといった副作用が起こる場合もあります。薬局やクリニックなどで詳しく説明を受けることができますので、心配な方は購入前に確認しておくと良いでしょう。
AGAの進行を抑える方法③AGAクリニック

AGAがある程度進行している、なるべく早くAGAの進行を止めたいという場合はAGA治療が行える専門病院の受診を検討してみてください。ただしAGA治療は保険適用外の自由診療に分類させるため、全額自己負担になるので頭に入れておきましょう。
ここからはAGAクリニックで行える主なAGA治療をご紹介します。

飲み薬や塗り薬を用いる薄毛治療法です。
飲み薬はクリニックで行われているAGA治療でもっともメジャーな治療方法で、抜け毛を予防する目的で用いられています。よく処方される治療薬にはプロペシアやザガーロといったものがありますが、未成年には処方できないため、全ての人が受けられる治療法ではありません。塗り薬は発毛剤として用いられ、有効成分ミノキシジルが配合されたものが一般的です。18歳以上なら処方してもらえ、クリニックごとに有効成分の配合濃度が異なったり飲み薬と併用することが多いのが特徴です。飲み薬・塗り薬は、いずれもクリニックごとに扱っている薬剤が異なり、国内未承認薬やオリジナル薬を用いるところもあります。
これらの投薬治療は、近年ではオンラインでも受診できたり治療薬を送付してくれるクリニックが増えてきたため、以前よりも薄毛対策として選択しやすくなっています。

注入治療は、注射器や専用器具で頭皮下に治療薬を直接注入するAGA治療法です。注入治療を行っているクリニックは限られるうえ対面での施術が必要になるため、実際に通える範囲にクリニックがある人のみ選択できる薄毛治療です。注入治療は即効性がある治療法ではないため複数回施術を行う必要があるほか、飲み薬と併用する場合もあるため、投薬治療だけの場合と比べるとより費用がかかる傾向にあります。クリニックによって注入できる治療薬や治療方法が異なり、国内未承認薬やオリジナル薬を用いる場合もあります。

植毛は、後頭部などから薄毛が気になる箇所に自身の髪を移植する自毛植毛という方法が一般的で、注入治療よりも更に行えるクリニックが限られます。毛根が完全に無くなってしまった部分にも移植でき、毛根が一旦定着すれば髪が抜けてもまた生えてくるといった見た目の効果が高い施術方法です。
麻酔を使用して施術を行うことが多いため時間がかかるだけでなく、費用も高いのが特徴です。植毛自体の料金のほかに基本料金や麻酔代が別途かかったり、施術の前後で様々な注意事項があるといったデメリットもあります。
これらの治療方法の詳細やAGA治療全体にかかる治療費用などは各クリニックで行っている無料カウンセリングや無料相談で具体的に把握することができます。また、どんなAGAクリニックがあるか、どのようなAGA治療が行えるか、治療メニューごとのおよその金額などを把握したい方は、下記のページを参考にしてみてください。
>>AGA治療がおすすめのAGAクリニック20院!口コミ評判やオンライン診療対応院・後悔しない選び方は? | Medikel
AGAの進行速度-まとめ-
AGAは進行性のため、どの段階で対策を始めるかによって希望の状態をキープする難易度は大きく変わります。抜け毛予防だけなら日常的なケアと+αの方法だけで済むところ、発毛したい、もっと髪を増やしたいとなると、複数の方法や治療薬などを組み合わせる必要が出てくるでしょう。また広い範囲で毛根がなくなってしまうと、どんなに優れた育毛剤・薄毛治療薬であっても元のように生やすことは難しく、現実的には植毛やアートメイク、かつらといった選択肢しか無くなってしまう場合もあります。
身体的・精神的・経済的な負担を最小限に抑えるためにも、抜け毛や薄毛が気になったなら、なるべく早期に対策を始めることが重要です。